TitleDescent:Freespace−The Great War

直輸入版
DeveloperVolition.inc
Publisher
Interplay

レビューした人:BH

<プレイに使用したマシン>
P200MMX
48MB
MONSTER3D
AWE32 PnP
Thrust Master FLCS



1)ゲームシステム

購入時には、キャンペーンゲーム1つとガントレットしかありません。キャンペ
ーン及びシングルシナリオは、添付のエディッタFredを使用して作成するこ
とで追加できます。キャンペーンを進めて、クリアしたミッションは、ミッション
シミュレータに記憶され、再プレイすることができます。ミッションの結果によ
ってシナリオが分岐するという形態をとっているらしい(一度クリアしただけな
ので、確認できない)ので、ちょっと失敗してもなんとかなるミッションもあるよ
うです。ストーリーの進行によって、コマンドブリーフィングが行われ、大局的
な観点からの情報を聞かせられたり、新兵器の紹介が為されたりします。戦
闘の直前にミッションブリーフィングがあり、コマンドブリーフィングとは別に、
ミッションについての詳しい説明が行われます。これを理解した後に、フライ
トチームの設定、宇宙船の武装の設定を行います。この設定部分は、私が
みたSFシューティング系ゲームのなかで、最も細かいところまで手をだせる
ものです。一部の例外のミッションを除いて、フライト内の宇宙船の種類、プ
ライマリウェポン、セカンダリウェポンの設定ができるので、自分の思うとおり
の設定ができます(といっても、フライトは、多い場合には3つ(4つ?)もある
ので指示しきれないと思うのですが)。ミッションに入ってからも、自由度は高
いままです。自分の指揮下の宇宙船は、ほとんどの場合は4機から8機あっ
て、この目標を攻撃しろ、援護しろ、などの典型的な指示を与えることができ
ます。さらに、セカンダリウェポン(i.e.ミサイルや爆弾)が切れた場合には、サ
ポートシップに、補給・修理要請をすることで、補給をうけることができます。
気合がはいってるのは、サポートシップが、ちゃんとドッキングしにくることです
(ドッキングまでの時間も表示される)。ミッションは、Prophecyにくらべてやさし
いものがほとんどですがほんの一部、難易度の高いものもあります("Playing
Judas"など)。ミッション終了後には、デブリーフィングをうけ、成果によっては
勲章をうけます。ミッションに不手際があった場合には、Recommendationとい
う形で、どうプレイヤーが動けばよかったかについて教えてくれます(ここもそう
ですが、ブリーフィングもルーカスアーツの往年の傑作、Tie Fighterによく似
ています)。なかなか親切設計なんですね。
特に強調したいのは、結構自由度が高いということと、Fredが超強力で、これ
を使えば、分岐入りのキャンペーンまでできてしまうところです。

2)グラフィック

宇宙船に関しては、Prophecyよりもずっと手間がかかっていて、ダメージを受け
ると火花が吹き出したりします(しかも火花は継続する)。宇宙空間の描写に関
しては、星雲(?)や、操縦によって星が尾を引いたりするなど、最近のゲーム
らしく、非常に美しいできになっています。ただ、大型艦についている砲塔の位
置は目視ではよくわからないので、もう少し目立つようにしてほしかったですね。
それとも、目立たせたらリアルではなくなるから、故意に目立たないようにした
のでしょうか。ほとんどの部分で、Prophecyよりも美しいグラフィックだと感じまし
たが、ミサイル航跡に関してだけは、こちらのほうが明らかに劣ってますね。と
いうか、Prophecyのミサイル航跡って煙、だったと記憶していますが、宇宙空
間に煙ってたつのでしょうか・・?
そうそう、最終ミッションの背景は、もの凄いですよ。

3)ミュージック&サウンド

サウンドも音楽も、いいできだとおもいます。特に音楽に関していえば、どこ
となく悲しい感じで、割と暗めの曲が多く、非常に雰囲気がでています。コマ
ンドブリーフィング、ブリーフィング、戦闘中など、ほぼ全編を通して曲が流
れ、プレイヤーをゲーム世界に引き込んでくれます。特に、戦闘中はいい
ですねえ・・暗めの曲が流れているときは、興奮します!。気分はすっかりX
Xンダムの最終回。そんなわけで、「ハッハッハ!おちろぉ!」なんですが。
サウンドに関してですが、waveファイルを使用して、スピーチをエディットす
ることができます。ミッション中の台詞、ブリーフィング時とデブリーフィング
時のスピーチを、自分で録音したwaveファイルからとることができるのです。
特に、「ミッション中の台詞」はいいですねえ。暇さえあれば、わたしも改造
してみたいものです。「おちろぉ!」「おちなさい!」「おちるんダヨ!」「おち
な!」などなど、英語の台詞の代わりに差し替えたい台詞は山ほどあります。

4)海外の雑誌・サイトにおける評価

PCgamer誌やComputer Gaming World誌における評価は、未確認です。
今のところわたしが確認したのは、The Adrenaline Vaultのレビューだけ
です。「ストーリーがProphecyクローンっぽいので、ただのクローンかと思
った」という出だしで、だいたい、わたしのレビューと内容は同じだったと
記憶しています。というよりも、わたしのレビューが向こうのレビューに似て
いるのでしょうか?結果は、星5つ中4.5くらいでした(間違っているかも)。
星5つくらいあげてもいいと思いますが、「いままで発売された宇宙モノの
いいところだけをつぎあわせたフランケンシュタインゲームで、オリジナル
なところはあまりない」と書いてあったような気がします。その点で点数を引
かれたのでしょう。私は、オリジナリティ十分だと思うんですがねえ。

5)必要な英語力

ミッションを遂行するだけ、というのならほとんど必要ないと思います。です
が、読解力はもちろん、聞き取り力も多少あったほうがゲームをもっと楽し
めると思います。ブリーフィングの伝達される作戦は、あくまでも基本であって、
戦闘中に変更されることがしばしばあります。そのようなときに、F4押して会
話ログだしていちいち見るのは結構手間なので、交信内容を耳で理解でき
るくらいが理想です。その程度の実力があれば、ゲームを存分に楽しむことが
できるでしょう。

6)わたしの感想

Freespaceは、UNREAL同様、かなり偏見をもって買ったゲームソフトです。
Prophecyの真似っぽいがいいでき」という噂を聞いていて、どれほどう
まくパクッテいるのか、パクッタ結果どんな感じに仕上がっているのか等、
比較的興味があったので、ほとんど「暇つぶし」代わりに買いました。初
めて起動してみたときは、オープニングムービーが全部CG(人までCG!
)なので、「低予算プロジェクトなんだなあ」と思いつつ、台詞を流し聞き
(ゲームをプレイしてみないと、ムービーの意味がよくわからないのです。
あとから分かるようになりましたが)して、キャンペーンを開始します。ベ
ーシックトレーニング、実戦(数回)、アドバンスドトレーニング、実戦、と
進行していくのですが、2回目の実戦が終ったあたりから、パクったゲー
ムだとか、低予算だとかいう思考はすっかり吹き飛ばされてしまい、夢中
になってプレイしていました。音楽&サウンド、ストーリー、グラフィック、ゲ
ーム性どれをとっても、一級品です。気に入りました。特にストーリーは、
秀逸だと思います。確かに、Prophecyに似てはいますが、完成度はこちら
のほうが上だと思います。実際のゲームだけではカバーされないシヴァ人
(?)とヴァスダ人の解説は、Tech Roomで読むことができるというのが、設
定マニアにはたまりません。普通のゲームだったら、武器及び宇宙船の解
説だけで終ってしまうのですが、本ゲームでは、しっかり種族に関しても記
述されており、ゲームの雰囲気を盛り上げてくれます。それから、クレジット
を見ると、設定原画がちらりほらりと出てきて、「おー、こんなスクラッチからシ
ヴァ人をモデル化したのか!」と意味もなく感動してしまいます。
最初に、「低予算プロジェクトだ」と印象を受けたCGも、ゲームにのめりこ
むにつれ、生き生きとして見えてきます。特にHall Fightとエンドゲームのム
ービーは最高です。Hall Fightでは、モデル化されたボードパーティーが
本当に良く動きます。製作者側の並々ならぬ気合を感じました。Prophecy
の役者の演技力のほうがたいしたことないように思えるくらいですね。また、
エンドゲームのムービーは、私の愛するスターブレードのエンディングに匹
敵するほどキマッテます。崩壊するルシファーとともにワープアウト、そして、
ルシファーを撃破したフライトグループは地球に戻っていきます(なんだか、
本物のスタブレみたいですな)。引き続いて、プレイヤーキャラクター(?)の
独白があり、古代文明の残した文献から判明したシヴァ人の襲来の真意が
明かにされます。「シヴァ人は、強大な破壊者であるだけではない、偉大な
保護者でもあるのだ。そのために、宇宙空間を動き回っていたのだ」。Prop
-hecyとは違って、ちゃんとおちがあるところが気に入りました。しかも、これ
は二重のおちです。「シヴァ神」とはインド神話では、破壊者であり創造者な
わけですから(保護者ではないようです。維持とか保護はヴィシュヌ神の領
域です)。「手抜きな設定だ」、という方もいらっしゃるでしょうが、実際ゲーム
に夢中になってしまうと「ほほお、よく考えてる」という立場にたたざる負えなく
なってしまうんです(爆)。話は脱線していきますが、このゲームでは、一応
名前の分類なるものが存在しており、地球人の装備品や宇宙船には、ユリ
シーズ、プロメテウス、メデューサといったギリシア神話系の名前、ヴァスダ
人のものには、ラー、イシス、オシリスといったエジプト神話系の名前、シヴァ
人のものには、アスモデウス、メフィストといった悪魔(堕天使っていうんです
か、詳しくないんでわかりません)系の名前とディーバ、シャクティといったイ
ンド系の名前に、それぞれ統一されています(一部例外あり)。このあたりも、
なかなか味があってよいですねえ。わからない人は全然分からないままでゲ
ームを解いてしまいそうなくらい細かい部分ではありますが、こういった細か
い部分になされた配慮こそが、Freespaceを魅力あるゲームにし、さらに、Pr
-ophecyよりも一歩踏み込んだゲームとして成立させているのだと思います。
最後につけくわえることがあるとすれば、次のようなことでしょう。わたしのマ
シンはこのゲームとの相性が悪いらしく(バグか?)1ミッションをクリアして、
次のミッションのデータを読み込むと、ほぼ100%の確率でハングりました。
このようなゲームは、非常に希です。普通なら、ほぼ100%、と分かった時
点でゲームをアンインストールするのですが、このゲームに関しては、その
事実を完全に無視して、最後までプレイしてしまいました。わたしは、結構気
が短いほうなんですが、ストーリー展開にすっかりとりこまれてしまい、途中で
やめることができなくなってしまっていたのですねえ(爆)。それほど魅力ある
ゲームです。それから、私は神話マニアというわけではないので、上の話で
間違ってる個所があるかもしれません。その場合には、どのように訂正すれ
ばいいかも交えて、メールしてくださると幸いです。